メルマガは「配信」ではなく「顧客発見」の仕組みである

メルマガは「配信」ではなく「顧客発見」の仕組みである

1. なぜ今、BtoB企業にメルマガが必要なのか

BtoB企業の集客環境は、大きく変わっています。

AI Overviewsや生成AI検索の普及によって、検索結果だけで疑問を解決する人も増え、SEOコンテンツから自社サイトへ来てもらえないケースが増えているのです。

 

そこで、あらためて私が推しているのがメルマガです。

メルマガは、検索エンジンやSNSのアルゴリズムに左右されず、自社の保有するリストさえあれば、企業から読者へ直接情報を届け続けることができるからです。

 

実際に、弊社がWebマーケティングを支援するBtoB企業では、メール経由の流入が次のように増えています。

BtoB企業のWebサイトへの流入数の推移

運用開始から4ヶ月目には、メール経由の流入が検索エンジン経由を上回りました。9ヶ月目にも、検索エンジンとほぼ同じ規模の流入を生み出しています。

メルマガは、SEOやSNSと並ぶ重要な流入経路になり得るのです。むしろ、重要性は増しているとさえ言えます。

 

2. メルマガの成果とは何か

メルマガの成果というと、開封率やクリック率を思い浮かべる人が多いかもしれません。

もちろん、これらも運用を改善するための大切な数字です。

しかし、開封やクリックが増えただけでは、商談や売上にはつながりません。

 

メルマガの本当の成果は、読者に「次の行動」を起こしてもらうことです。

  • 記事を読む
  • 資料をダウンロードする
  • ウェビナーに参加する
  • 勉強会や相談会に参加する
  • 商談に進む

 

なかでもティネクトが重視しているのが、ウェビナーへの参加です。

メルマガを読んでいるだけでは、その人が何に関心を持っているのかまでは分かりません。

しかし、特定のテーマのウェビナーに参加すれば、そのテーマに課題や関心を持っていることが分かります。

 

例えば、AIO対策のウェビナーに参加した人は、AI検索への対応に関心があると考えられます。

メルマガ運用のウェビナーに参加した人であれば、見込み客の育成や商談化に課題を抱えている可能性があります。

 

つまり、ウェビナーは情報提供の場であると同時に、顧客になり得る人を見つける場でもあるのです。

 

ただし、メルマガ読者を、いきなり商談へ誘導する必要はありません。必要ない、というよりも、それはほぼ不可能です。

それはただ名刺を渡されテレアポをして、商談を生み出すようなものだからです。

 

ですので、メルマガリストから商談を生み出すためには小さな階段を作る、例えば

メルマガ読者 → ウェビナー参加 → 勉強会・相談会 → 商談

このように段階を踏みながら、関心のある人を商談へつなげていくことが必要になります。

 

そのため、メルマガの成果を見るときは、開封率やクリック率だけでなく、ウェビナーの参加者数や、その後の商談数まで確認することが大切です。

メルマガ読者から商談までの流れ

 

3. メルマガが成果につながらない2つの理由

とはいえ、メルマガはインターネット黎明期から使われてきた情報発信の手段です。すでに配信している企業も多いでしょう。

しかし、メルマガを定期的に送っていることと、マーケティング施策として機能していることは、同じではありません。

 

メルマガの役割は、情報を一斉に送ることではありません。

まだ顧客になっていない人との接点を維持し、その中から、自社の商品やサービスを必要としている人を見つけることなのです。

 

メルマガをマーケティング施策として機能させるには、次の2つが必要です。

  • 情報を継続的に届け、見込み客との関係をつくる
  • 読者の反応から、具体的な課題や関心を持つ人を見つける

 

逆に言えば、メルマガが成果につながらない理由は、下記2つと言えます。」

 

理由① 読者との関係ができていない

メルマガが成果につながらない理由:関係作りができていない

1つ目は、読者との関係ができていないことです。

例えば、展示会で名刺情報を獲得しても、相手が自社に強い関心を持っているとは限りません。展示会の来場者は、短時間で多くのブースを回ります。数日後には、どの会社と、どのような話をしたのか忘れていることも珍しくありません。

 

その状態で、いきなり製品案内や商談の依頼を送ると、相手には突然届いた営業メールに見えてしまいます。

 

例えば、次のような案内です。

  • 製品資料をご覧ください
  • 一度、お打ち合わせしませんか
  • 導入についてご相談ください

企業側は「以前から接点がある」と思っていても、相手にその認識がなければ、反応してもらうのは難しいでしょう。

 

必要なのは、すぐに売り込むことではありません。

まずは、自社のことを覚えてもらうことです。

読者の仕事に役立つ情報を継続的に届け、「この会社のメールは読んでおきたい」と思ってもらう。

そうして接点を重ねることで、必要になったときに自社を思い出してもらえるようになります。

 

メルマガにおける関係作りとは、すぐに商談へ誘導することではありません。

将来、読者に課題が生まれたとき、相談先の候補に入るための準備なのでです。

 

 

理由② 有効なオファーを提示できていない

メルマガが成果につながらない理由:有効なオファーがない

2つ目は、読者が行動したくなるオファーを提示できていないことです。

ここでいうオファーとは、読者に次の行動を促すための提案です。

  • ウェビナー
  • 勉強会
  • 資料ダウンロード
  • 相談会

ただし、「新しい資料を公開しました」「セミナーを開催します」と伝えるだけでは、有効なオファーにはなりません。それは企業が知らせたいことであって、読者が知りたいこととは限らないからです。

 

読者は、資料が公開されたからダウンロードするわけではありません。

セミナーが開催されるから参加するわけでもありません。

「自分の悩みを解決できそうだ」と感じたときに、初めて行動します。

 

そのため、オファーを作るときは、次の点を明確にします。

  • 誰に向けた企画なのか
  • どのような悩みを扱うのか
  • 参加すると何が分かるのか
  • いま参加する理由は何か

例えば、「AIO対策セミナーを開催します」だけでは、誰のための企画なのか、参加すると何が得られるのかが分かりません。

 

これを、次のように具体的にします。

Google検索からの流入減少に悩むBtoB企業の担当者に向けて、AI検索時代に見直すべきコンテンツ施策を解説します。

これなら、対象者と参加するメリットが伝わります。

 

オファーの役割は、関心のある人に、その関心を行動で示してもらうことです。ウェビナーに申し込んだ。資料をダウンロードした。相談会に参加した。

こうした行動から、その人が何に関心を持ち、どのような課題を抱えているのかが見えてきます。

つまり、有効なオファーは、単に申し込みを増やすためのものではありません。

見込み客の中から、顧客になり得る人を発見するためのものです。

 

 

読者との関係ができていなければ、オファーを出しても反応してもらえません。

一方、関係をつくるだけでオファーを提示しなければ、誰が具体的な課題を持っているのか分かりません。

見込み客との関係をつくる。

有効なオファーによって、顧客になり得る人を見つける。

メルマガをマーケティング施策として機能させるには、この両方が必要です。

 

4. メルマガを「読み物コンテンツ」と「チラシDM」に分ける

メルマガの2つの役割

 

この2つの役割を果たすために、メルマガを「読み物コンテンツ」と「チラシDM」に分けて考えます。

 

読み物コンテンツの役割は、見込み客との接点をつくることです。

名刺交換をした直後は、相手も自社のことを何となく覚えている程度ですが、そこで役立つ情報を継続的に届け、少しずつ関係をつくっていきます。

 

チラシDMの役割は、新規顧客を発見することです。

ウェビナーや勉強会などを案内し、その反応から、特定のテーマに関心を持つ人を見つけることが最も重要な役割なのです。

種類

読み物コンテンツ

チラシDM

役割

見込み客との接点づくり

新規顧客の発見

目的

顧客や見込み客との関係を維持する

特定のテーマに関心を持つ人を見つける

内容

コラム、お役立ち情報、事例

ウェビナー、勉強会、サービス案内

 

読み物コンテンツで関係をつくり、チラシDMへの反応から、顧客になり得る人を発見する。

この2つを組み合わせることが、メルマガ運用の基本です。

 

5. 「読み物コンテンツ」と「チラシDM」の作り方

読み物コンテンツ:見込み客との関係をつくる

読み物コンテンツの目的は、顧客や見込み客との接点を維持することです。名刺交換をしただけの相手は、まだ自社の商品やサービスを必要としていないかもしれません。

しかし、定期的に役立つ情報を届けることで、自社のことを少しずつ覚えてもらえます。

 

大切なのは、自社が伝えたいことではなく、読者が読みたいことを届けることです。

読み物コンテンツで、毎回売り込む必要はありません。

まずは「この会社のメールは読んでおきたい」と思ってもらうことが重要です。

役立つ情報を届け続け、必要になったときに自社を思い出してもらえる関係をつくります。

 

 

チラシDM:関心を持つ見込み客を発見する

 

チラシDMの目的は、見込み客の中から、自社のテーマに関心を持つ人を見つけることです。

例えば、上記のAIO対策のウェビナーに申し込んだ人は、AI検索への対応に関心がある人が対象となります。

それは必ずしも、自社のサービスを欲しがる人とは限りませんが「見込み客」として、有効なリストとなり得るのです。

 

読者に「面白そう」「参加してみたい」と思ってもらえる企画が必要です。

読者の興味を引き、参加する理由を分かりやすく示すことです。

チラシDMを作るときは、次の点を整理します。

  1. 誰に向けた企画なのか
  2. どのような悩みを扱うのか
  3. 参加すると何が分かるのか
  4. 思わず気になるタイトルになっているか
  5. 簡単に申し込めるか

申し込みがあれば、その人が何に関心を持っているのかが分かります。

そこから勉強会や相談会を案内し、商談へつなげていきます。

 

読み物コンテンツでは売り込まず、チラシDMでは行動する理由をはっきり伝える。

それぞれの目的を分けて作ることが、メルマガを成果につなげるポイントです。

 

6. 「読み物コンテンツ」と「チラシDM」では見るべき数字が違う

読み物コンテンツとチラシDMは目的が違うため、同じ数字で評価することはできません。

実際の配信データを見てみましょう。

配信内容

開封率

クリック率

目的

AIO記事を紹介する
読み物コンテンツ

38%

1.75%

見込み客との接点づくり

AIOウェビナーを案内する
チラシDM

33.95%

0.58%

新規顧客の発見

 

読み物コンテンツは、継続して読まれているかを見る

AIO記事を紹介した読み物コンテンツは、開封率38%、クリック率1.75%でした。

このメールからウェビナーに申し込んだ人は数名ですが、しかし、読み物コンテンツの目的は、すぐにウェビナーへ申し込んでもらうことではありません。

記事を読んでもらい、見込み客との接点を維持することが目的です。

 

そのため、読み物コンテンツでは、開封率や配信停止率の方が重要な指標となります。

継続して読まれているか。

配信停止が増えていないか。

こうした数字から、読者との関係を維持できているかを確認することができるのです。

 

チラシDMは、関心を持つ人を発見できたかを見る

AIOウェビナーを案内したチラシDMは、開封率33.95%、クリック率0.58%でした。

読み物コンテンツよりクリック率は低いものの、リンクをクリックした人の約半数が、実際にウェビナーへ申し込みました。

つまり、このチラシDMによって、AIOに強い関心を持つ人を見つけることができたのです。

 

チラシDMでは、開封率やクリック率だけでなく、次の数字を確認します。

  • 何人がウェビナーに申し込んだか
  • どのような人が申し込んだか
  • その後、勉強会や相談会に進んだか
  • 最終的に商談につながったか

こうした数字を見ることで、新規顧客を発見できたかを判断します。

 

2つのメルマガを組み合わせる

読み物コンテンツだけを配信していても、誰が具体的な課題を持っているのかは分かりません。

一方、チラシDMばかり送っていると、売り込みの多いメルマガだと思われ、読まれなくなってしまいます。

 

普段は、読み物コンテンツで接点を維持する。ウェビナーなどの企画ができたら、チラシDMを送る。

そして、その反応から、テーマに関心を持つ人を見つけます。

ティネクトのウェビナーでは、実際に200名を超える申し込みにつながった事例もあります。

ティネクト主催ウェビナーの申し込み実績

読み物コンテンツで接点をつくり、チラシDMへの反応から新規顧客を発見する。

この2つを組み合わせ、商談までの流れをつくることが重要です。

 

7. AIを使ってメルマガ運用を続けやすくする

メルマガで成果を出すには、継続して情報を届ける必要があります。しかし、毎週新しいコンテンツを作るのは簡単ではありません。

テーマを考え、情報を集め、構成を作り、執筆し、内容を確認する。ほかの業務と兼任している担当者にとって、大きな負担になります。

 

最初は定期的に配信していても、次第に回数が減り、やがて止まってしまうこともあります。

この負担を減らす方法の1つが、生成AIの活用です。

 

すでにある動画や資料を活用する

多くの企業には、すでにコンテンツの材料があります。

  • 過去に開催したウェビナーの動画
  • 営業やセミナーで使用した資料
  • 社内の専門家が持つ知識やノウハウ
  • 過去に制作した記事やホワイトペーパー

こうした情報をAIで整理すれば、新しい記事やメルマガの素材として再活用できます。

 

例えば、1時間のウェビナー動画には、担当者の専門知識や具体的な事例が含まれています。

その内容を記事にすれば、ウェビナーに参加できなかった人にも情報を届けられます。

さらに、その記事を読み物コンテンツとしてメルマガで紹介すれば、見込み客との接点づくりにも活用できます。

 

AUTOMEDIAでコンテンツ制作を効率化する

ティネクトが提供する「AUTOMEDIA」では、ウェビナー動画や既存の資料をもとに、記事コンテンツを制作できます。

AUTOMEDIAのサービス概要

ティネクトが蓄積してきた記事制作のノウハウをAIに組み込み、企画、構成、情報収集、下書きなどを効率化しています。

料金は、初期費用10万円、1記事あたり2万円からです。

 

AIを使って制作の負担を減らし、見込み客との接点を途切れさせない。

これが、メルマガを継続するためのポイントです。

 

まとめ

メルマガの役割は、単に情報を配信することではありません。

読み物コンテンツで、見込み客との接点を維持する。

チラシDMへの反応から、顧客になり得る人を発見する。

そして、ウェビナーや勉強会を通じて商談へつなげていきます。

 

大切なのは、開封率やクリック率だけを追うのではなく、その先にある行動を見ることです。

まずは、これまで名刺交換をした人や、すでに保有している営業リストに向けて、週1回程度の読み物を届けるところから始めてみてください。

継続して接点を持つことで、必要なタイミングに自社を思い出してもらいやすくなります。

その積み重ねが、ウェビナーへの参加や商談につながっていきます。

メルマガ運用のまとめ

 

(了)

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上記は2026年7月15日に実施したティネクト主催ウェビナー「オファーはエンタメ、 ナーチャリングはマーケティング。BtoBメルマガで見込み顧客を動かす設計術」を要約したものです。

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(2026/9/24更新)

監修者

楢原 一雅(ならはら かずまさ)
ティネクト株式会社 取締役

広告業界・教育業界での営業経験を経て、2014年にティネクトを共同創業。オウンドメディア「Books&Apps」を立ち上げ、月間200万PV超のメディアに成長させる。現在はBtoB企業向けに、コンテンツマーケティング支援を推進。

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