
この記事のポイント
- AIO対策とは、ChatGPTやGoogleの「AIによる概要」が答えを作るときに、自社の情報が正しく引用されるよう整えること。ひとことで言えば「AIへの自己紹介」です。
- SEO・LLMO・GEOとの違いは、名前ほど大きくありません。本当の違いは、評価の単位が「ページ」から「事実」に変わり、「誰が言っているか」をAIがサイトの外で照合するようになったことです。
- 最初の一手は記事を増やすことではなく、「誰が発信しているか」をAIが確かめられるようにする「身元保証」。私たちが自社サイトを点検したら、ここに問題が集中していました。
1. なぜコンテンツ会社が、自社サイトを点検したのか
お客様にAIO対策を勧める前に、自分たちのサイトがAIにどう見えているかを確かめるためです。
結果は、人にはとても見せられないものでした。
ティネクトは、ビジネスメディア「Books&Apps」を10年以上運営し、BtoB企業のコンテンツマーケティングを支援してきた会社です。
ティネクトでは、代表の安達裕哉がAI検索について研究してきた内容を、「4つの施策+1」という枠組みに整理しています。この内容は、安達の新刊として出版を予定しています。
2026年9月、まずこの枠組みに沿って、コーポレートサイト tinect.jp を点検しました。
見つかった問題は、大きく4つに分けられます。
1. 同じ人物が、データ上は別人だった
記事の著者として表示される「安達裕哉」と、会社概要に載っている代表の「安達裕哉」が、構造化データ(ページの内容をAIや検索エンジンに伝える記述)の上では、別々の人物として扱われていました。
人間なら名前を見れば同じ人だとわかります。しかしAIにとっては、「つながっている」と明示されていない限り、同名の別人かもしれない存在です。
つまり、代表が書いた記事を何本積み上げても、それが「ティネクトの代表の知見」として評価されていなかった可能性があります。
2. 会社が、データ上で複数存在していた
トップページ、記事ページ(プラグインが自動で出力)、サイトのテーマ。それぞれが別々に会社の情報を出していて、記事ページだけでも会社や著者を説明するデータが3本重複していました。
情報の出どころが複数あると、どれが正式な自己紹介なのか、AIは確定できません。
3. 自己紹介の中に、時間の矛盾があった
会社の設立は2013年10月なのに、共同創業者の経歴は「2014年に共同創業」。Books&Appsの規模は「月間200万PV超」と現在形で書かれていましたが、これは5年以上前のピーク時の数字でした。サービスの説明も、2023年4月に作った古いページが公開されたまま残っていました。
どれも、ひとつずつは嘘ではありません。しかし、時点の違う情報が並んでいると、AIは他の情報源と照らし合わせて「どちらが正しいのか」を判断しなければならなくなります。
4. いちばんの資産が、会社とつながっていなかった
10年以上運営してきたBooks&Appsは、ティネクトにとって最大の実績です。ところが、データの上では「ティネクトが運営するメディア」だと示されておらず、Wikidata(AIが身元確認に使う公開データベース)にも、会社と代表のどちらも登録されていませんでした。
そして、そもそもAI経由でサイトに何人来ているのか、社内の誰も答えられない状態でした。
人間の読者なら、どれも気にせず読み流すかもしれません。
しかしAIは、公式サイト・SNS・第三者の記事を照らし合わせて「この会社は何者か」を判断します。
自己紹介がつながっていない会社、食い違っている会社は、引用の候補から外れやすくなるのです。
2. AIO対策とは何か
AIO(AI Optimization)対策とは、生成AIやAI検索が回答を作るときに、自社の情報が参照され、正確に引用される状態を整える取り組みです。
対象は、ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexityと、Google検索の「AIによる概要」「AIモード」です。
「AI Overviews(AIによる概要)への最適化」の意味で使う人もいて、統一された定義はまだありません(2026年10月時点)。
ただ、私たちはもっと素朴に、「AIへの自己紹介」だと考えています。
自分たちは何者で、何ができて、何ができないのか。それを、AIにも人にも確かめられる形で外に出すことです。
3. SEO・LLMO・GEOとはどう違うのか
名前の違いを細かく覚える必要は、あまりありません。
AIO・LLMO・GEOは強調点が少しずつ違うだけで、やることはほぼ同じです。違うのは、SEOとの間です。
| 用語 | 最適化の相手 | ゴール |
|---|---|---|
| SEO(Search Engine Optimization) | Google・Yahoo!などの検索エンジン | 検索結果で上位に出て、クリックされる |
| AIO(AI Optimization) | AI検索・対話型AI全般 | AIの回答に、正しく引用される |
| LLMO(Large Language Model Optimization) | GPT・Gemini・Claudeなどの言語モデル | モデルに自社を正しく理解させる |
| GEO(Generative Engine Optimization) | Perplexity・AIモードなど生成型の検索 | 生成された回答の中で選ばれる |
SEOとAIOの違いで、実務に効くのは次の2つです。
1. 評価の単位が「ページ」から「事実」に変わる
AIはページ全体ではなく、質問に答えている1〜2文や、出典つきの数字を抜き出して使います。
見出しの直後に答えを書く、数字に時点を添える、といった書き方が効くのはこのためです。
2. 「誰が言っているか」が、サイトの外で照合される
冒頭で書いた私たちの失敗は、ほとんどがこちらの問題でした。
サイトの中の文章をいくら磨いても、外の情報と食い違えば信頼されません。
なお、SEOの土台はそのまま必要です。
GoogleはAIによる概要について、従来のSEOのベストプラクティスがそのまま有効で、特別な追加要件はないと説明しています(Google 検索セントラル)。
4. 企業が最初に取り組むことは何か
私たちの答えは「身元保証」です。記事を書くのは、その後です。
冒頭で触れた「4つの施策+1」は、AIに推されるための施策を4つに分け、それに効果測定を加えたものです。
| 施策 | 何を整えるか | ティネクトの状況(2026年10月時点) |
|---|---|---|
| コンテンツAIO | AIが出典として使いやすい記事・ページ | サービスページを改訂済み。記事はこの連載から |
| 身元保証 | 誰が発信しているか(会社・代表・著者・監修者) | 最初に着手し、完了 |
| 外部シグナル | 第三者から、どう語られているか | 実績の棚卸し中 |
| テクニカルAIO | AIクローラーが読める・解釈できるサイトの作り | 大きな問題がないことを確認 |
| 効果測定 | 4つの施策の結果を観測し、改善する | 2026年10月2日に計測を開始 |
身元保証を最初にしたのは、ほかの3つの土台になるからです。
誰が書いたのかが確かめられない記事は、どれだけ良い内容でも出典として選ばれにくく、第三者の評価も「どの会社の話か」が定まらなければ自社に結びつきません。
第1章の4つの問題も、ほとんどがこの身元保証の問題でした。
ただし、どこから手をつけるべきかは、AIO対策で何を達成したいかによっても変わります。
| 達成したいこと | 最初に手をつけること | 確認のしかた |
|---|---|---|
| AIに、自社のことを正しく説明してほしい | 会社・代表・サービスの情報をサイト内外でそろえる(構造化データ、Wikidata、SNSのプロフィール) | 「〇〇株式会社はどんな会社?」とAIに聞き、事業内容・所在地・代表者が正しく出るか |
| 「おすすめの会社」の候補に入りたい | 取引先名・登壇・受賞・掲載など、第三者が確かめられる実績をサイトに書く。よくある質問を載せる | 「〇〇を頼める会社は?」とAIに聞き、候補に自社が入るか |
| 自社の記事を、AIの回答の出典にしてほしい | 見出しを質問の形にして直後に答えを書く。数字に出典と時点を付ける。自社にしかない情報を入れる | その記事が答えている質問をAIに聞き、出典に自社のページが出るか |
| AI経由の成果を社内に報告したい | アクセス解析でAI経由の流入を分ける。問い合わせフォームに「最初に知ったきっかけ」を入れる | AI経由の訪問数と、フォームで「AI」を選んだ件数を毎月記録する |
私たちの場合は、いちばん上の「正しく説明してほしい」を最優先にし、同時に、あとから比べられるよう計測を始めました。
tinect.jp では次の順で進め、身元保証はすべて社内で、ツール費用もかけずに約3週間で完了しました。
| 時期(2026年) | やったこと | ねらい |
|---|---|---|
| 9月下旬 | 重複していた構造化データを1本に整理。会社・役員4名・サービス・著書を同じIDでつなぎ、記事の著者と会社の役員を同一人物として結ぶ | 身元保証 |
| 10月2日 | GA4にAI経由の流入を分けるチャネルを作成。問い合わせフォームに「当社を最初に知ったきっかけ」(選択肢に「AI」)を追加 | 効果測定 |
| 10月7日 | Wikidataに会社と代表を出典つきで登録し、サイトの構造化データとつなぐ。共同創業者の経歴とPV表記を、時点がわかる表現に修正 | 身元保証 |
| 10月7日 | 記事ごとに監修者を表示する仕組みを追加。サービスページを、質問形の見出しと結論先出しに全面改訂 | 身元保証/コンテンツAIO |
計測を最初に置いたのは、後から「対策の前と後」を比べられなくなるからです。
結果の数字は、データがたまり次第、このブログで公開します(計測開始は2026年10月2日)。
5. AIO対策は、テクニックの話なのか
半分は違う、というのが私たちの考えです。
構造化データやWikidataは、手順さえわかれば誰でもできます。
難しいのは、そこに書く中身、つまり「自社は何者か」を言葉にすることです。
実際、サービスページを改訂したときにいちばん時間がかかったのは、HTMLではありませんでした。
「どんな企業に向いていて、どんな企業には向いていないか」を書く部分です。
良いことしか書いていないページは、人間にとってもAIにとっても、判断材料になりません。
「4つの施策+1」の根っこにある考え方も同じです。AIO対策は小手先の技術ではなく、自社にしかない知見を、AIにも人にも読める形で誠実に外に出すこと。点検を終えたいま、私たちはそう確信しています。
6. やらなくてよいことはあるか
キーワードの詰め込み
AIは語の出現回数ではなく、質問に答えているかを見ます。
「○○とは」記事の量産
既存の情報をまとめただけの記事は、AIに要約されて終わります。
この記事も、用語解説だけなら書く意味がないので、自社の失敗と手順を載せています。
AIクローラーの一括遮断
拒否すれば、将来のAIが自社を知らない状態になります。tinect.jp は現在すべて許可しています。
完璧なクローラー設定にこだわること
私たちも、AIクローラーごとに許可を書き分ける設定(約20行)は検討しましたが、すでに全許可の状態で効果が小さいため見送りました。
優先順位は、自己紹介の食い違いをなくすほうが上です。
7. よくある質問
AIO対策をすると、SEOの順位は下がりますか?
下がりません。質問形の見出し、出典つきの数字、構造化データの整理は、どれもSEOの推奨事項と一致します。
効果はどのくらいで出ますか?
構造化データやWikidataの反映は、数日〜数週間でAIの回答に現れることがありますが、安定するには月単位かかります。
AIの回答は毎回ぶれるので、同じ質問を複数のAIで繰り返し試して、傾向を見る必要があります。
中小企業でも必要ですか?
必要です。AIは「おすすめの会社」を数社に絞って答えます。
規模より、自己紹介がそろっていて、確かめられる実績が書いてあるかどうかで差がつきます。
まず自社で何を確認すればいいですか?
会社名と代表者名で、ChatGPTやGeminiに「どんな会社ですか」と聞いてみてください。
事業内容・所在地・代表者が正しく出るか、古い数字が出てこないか。そこで出た食い違いが、最初に直すべき場所です。
AIOの読み方は?
「エーアイオー」と読みます。パソコンの「オールインワン(All-in-One)」など別の意味でも使われる略語ですが、この記事では「AI検索・生成AIへの最適化」の意味で使っています。
AIOとAEOは同じですか?
AEO(Answer Engine Optimization)は「質問に直接答える形で情報を整える」対策で、AIO対策のコンテンツ面とほぼ重なります。
(了)
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この記事は、ティネクトが自社サイト tinect.jp で進めているAIO対策の記録です。具体的な進め方、外注の判断、効果測定のしかたは、続く記事で順に公開していきます。
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